令和2年 5月朔日 月次祭 宮司講話より

5月月次祭 宮司講話より

 

5月月次祭にご参列いただきましてありがとうございます。

五月は別名「さつき」とも申します。皐月の「さ」はたびたび申し上げていることでございますが稲のことなのです。早苗を植える月であることから「早苗月」といったものと思われます。旧暦ですので6月の田植えの時期であり、秋の実りを期待して心躍る時期でございます。ちょうど一年前は天皇陛下が践祚され御代を引き継がれました。お祝いムード一色の日々でございましたが、今は日本のみならず世界中が災いに見舞われております。

八幡神というのはそもそも先進技術文明をもった渡来系の人々が奉斎していた神であると考えられます。聖武天皇の時代、国が災害や疫病に見舞われました。そこで聖武天皇は大きな力をもった国家国民を救う毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)を建立することをお決めになりました。当時、銅や水銀、金などが発見されそれらを使うことができるようになっていました。もともと八幡神は九州の宇佐の地にお祭りされていました。しかし八幡神を奉斎する人々はそれらの金属を扱う技術にたけていましたので彼らの助力が必要で、要請により、国難を乗り越えるための毘盧遮那仏建立にも携わったとみられます。その時、八幡神は「八百万の神々を率いてこの事業を成し遂げる」と託宣したのでした。そして八幡神は国難から国を守る国家鎮護の神となったのです。その後源氏の氏神として崇敬され全国に広まってゆきました。いまこの国難の時こそ、八幡神、あるいは祇園さまなどの疫病消滅の神々に熱祷を捧げるということが大事なのではないかと思うのです。日本でも世界でもたくさんの方々によって祈りがささげられています。この祈りの力で、災いから救われますよう、また皆さまが災いの渦に巻き込まれないよう願っております。

外出行動の自粛を求められておりますが、この時期に本棚の整理ですとか、買っていて読んでいない本などを読むという時間にすると思わぬ発見があるかもしれません。大きなマイナスの中にちいさなプラスを見出してこの時期を乗り越えていけたらと思います。

皆様にはどうぞお気をつけられまして、健全にお過ごしになりますようお祈り申し上げて月次祭のあいさつとさせていただきます。