令和2年 8月朔日 月次祭 宮司講話より

八月月次祭宮司講話より

八月の月次祭にご参列をいただきましてありがとうございました。

八月は旧暦で葉月と申します。旧暦ですから新暦からおよそ一か月遅れになります。葉が生い茂る頃でございますから葉月といったのでしょう。

また八月の朔日(ついたち・つきたち)は昔から八朔(はっさく)と申しまして重要な日でした。稲穂が早く実るものを早稲(わせ)といいます。秋稲の早い時期に収穫できるこの早稲を神にささげてお祭りをするのが八朔のお祭りで、大事なお祭りだったのです。

日本の秋は台風がやってきて大きな災害をもたらしますが、先人たちは品種改良を重ねて早く実る稲を作り、また台風シーズンの終わりに実る晩稲(おくて)も作ってきました。

自然の猛威に抗うことはできません。今日でも自然の災害にあって我々がいかに弱いものか思い知らされております。古代の人の自然とともに生きるという生き方を考えねばならない時なのでしょう。今私たちにとって自然の猛威といえば新型コロナウイルスかと思いますが、昔から疫病とともに人は生き、それを避けることによってしか難を逃れることはできなかったのです。昔の文献をみると我々が行っていることと同じことをやっています。

まず清潔にする、風の流れをよくする、人と人との距離を保つ、ということです。

昔は疫病というものは風邪(ふうじゃ)という字をあてました。それは目に見えぬ風とともにやってきて風とともに送り出されると考えられました。風邪(ふうじゃ)は風とともに西からやってくる、唐(から)の国からやってくると考えられました。風の神疫病神を風と共に送るという神事を昔から行ってきました。今もその強力な邪神の退散を願って祈っています。当社でも毎朝の祝詞におきましても、またこうした月次祭の祝詞でも疫病退散の祝詞を加えて奏上しております。

梅雨が明けこれからの時期は暑さも厳しくなり体調を崩しやすくなりますが、皆さまにおかれましてもご神気をいただき目に見えないベールによって守られ心身ともにご健康でお過ごしになりますようご祈念申し上げまして、月次祭のご挨拶とかえさせていただきます。