令和4年 10月朔日 月次祭 宮司講話より

十月朔日月次祭宮司講話より

 

本日は十月の月次祭にご参列をいただきまして誠にありがとうございました。

十月は旧暦で神無月と申します。これは神の月という意味合いです。

伊勢の神宮では神嘗祭(かんなめさい)という一年でもっとも大切なお祭が斎行されます。これはこの年の新穀を感謝し祝う祭りでございます。食べ物はたくさんの種類がございますが、中でも米は私たち日本人にとって最も大切な食物です。稲=お米は「いのちの根」でありますから、稲には魂が込められていると言ってもいいかもしれません。稲=米を食することで私どもは命、魂をいただいております。

 さて、今月は当社におきましても一年で最も大切なお祭、「例大祭」が行われます。例大祭とはおおむねの神社のお誕生日祭のようなものでもあり、国家皇室氏子の繁栄を祈る祭です。

当社は千年以上の歴史があることがわかってはおりますが、いつがお誕生日なのかという詳細についてはわかっておりません。しかし、この太子堂という場所はかつて農村地帯でございましたから、この収穫時期に例大祭を斎行するようになったのだと思われます。

この太子堂という地名ですが、聖徳太子に由来しております。室町時代、聖徳太子の像をお祀りしたお堂が建ち、それにちなんで太子堂という地名になりました。聖徳太子と言えば、憲法十七条を制定した人物として知られておりますが、憲法十七条には「和をもって貴しとなし・・・」という心を一番に掲げました。この太子堂という地域は永く農村地帯でしたが、江戸時代には天領や彦根藩、旗本などの支配に分断されていました。しかし、その支配地の違いを乗り越えて皆で一つに心をあわせましてお祭を行いました。その心は今も続いております。

 ここ2年ほどコロナ禍のためにお神輿の渡御ができませんでした。当社の祭りでは露店が多いことが特徴ですがやはりここのところは店舗数を抑える必要がありました。しかし今年は100店舗ほど境内や道路に出店し、また神酒所は各町会で開かれることになっております。お神輿は宮元の五丁目町会のみ出すこととなりました。

皆さまもどうぞご来社いただきまして元気をいただけたらと思っております。「神人和楽」という言葉がございますが神と人と心ひとつに楽しんでください。

皆さまにおかれましても和の心を大切にされまして、いやますますに栄えられますようお祈り申し上げる次第でございます。本日はご参列誠にありがとうございました。